プロフィール:志賀野 寛彦(しがの ともひこ)
ZEIN株式会社代表取締役CEO。1978年4月23日生まれ。
新卒でアクセンチュアに入社後、フリーコンサルタント、独立系ITコンサルティング会社、EYアドバイザリー(現:EYストラテジー・アンド・コンサルティング)を経て、ZEINを設立。
趣味はゴルフ、キャンプ、筋トレ、草野球。
これまでの道のり
創業の背景や想い
私はこれまで、大手コンサルティングファームでさまざまな案件を経験し、この仕事自体が自分に合っていると強く感じてきました。そのためコンサルタントとしてのキャリアを続けたいという思いは一貫して持ち続けていました。
一方で、大手企業ならではの課題も感じていました。たとえば、意思決定に時間がかかることや、内部プロセスの複雑さ、成熟した組織だからこそ、新しい挑戦をする際のハードルが高くなっていることなどです。また、大手では支援の手が届きづらい中小企業・地方企業への支援に対してもっと貢献したいという思いがありながら、十分な支援ができないことにもどかしさを感じることもありました。そうした背景もあり次第に「自分で会社をつくり、新たな挑戦をしたい」という気持ちが強くなっていきました。
アクセンチュアを退職後、フリーコンサルタントとして活動しました。その際にも起業を検討しましたが、当時は「共に会社をつくりたい」と思う仲間に出会えず、起業には至りませんでした。
その後、EYストラテジー&コンサルティングで、プロジェクトリーダーを務めた際、仕事への価値観や、クライアントへのサービスレベル・コミットメントを共有できる仲間に出会い、その出会いをきっかけに起業を決意し、新たな一歩を踏み出しました。
どのように拡大してきたか
創業当初、私たちは約20名ほどの規模でスタートしました。メンバーの多くは大手コンサルティングファーム出身で、それぞれが異なる専門領域を持っていたことが特徴です。
そのため、当初は特定の業種やサービス領域に絞らず、各メンバーが自身の得意分野を存分に活かせるよう、柔軟に案件を獲得し、提供していくスタイルを採用しました。事業領域を絞って立ち上げる会社も多いですが、私たちはそうではなく、「メンバーの専門性を最大限に活かすことで、それぞれのビジネスを拡張していく」という戦略を取りました。
その結果、各メンバーが主要なクライアントを担当し、自分たちの強みをベースにサービス領域を着実に確立しました。それと同時に、必要なタイミングで人員を拡充することで、組織としても自然な形で会社を成長させることができました。
また、カルチャー面においては、「全員で会社を創る」という想いを大切にしてきました。創業から5期目までは、組織の細分化はあえて行わず、ワンプール体制を採用しました。これにより組織を横断した連携が可能となり、自然と情報共有や相互支援が生まれ、一体感のあるチームが形成されていきました。
カルチャーについて
ZEINが創業以来、大切にしているカルチャーの根幹は、「社員全員(ZEIN)で一丸となってクライアントと自社の成長にコミットする」という姿勢です。これは一貫して掲げてきた理念であり、私たちコンサルタントがクライアントの期待に応え、責任を持って「やり切る」姿勢を重視しています。
加えて、私たちは「全員で会社/組織/事業を育てる」という意識も同様に重視しています。たとえば採用活動への参画、新しいサービスの開発、社内制度の改善など、社員一人ひとりが会社の成長に関わっていく風土があります。会社の成長に必要なものを、自分たちの手で形にしていこうという姿勢は、創業当初から受け継がれているカルチャーです。
また、ZEINでは部門や専門分野の垣根を越えた“横の連携”を非常に大切にしています。大規模なファームでは専門領域に限定されがちですが、ZEINでは自分の得意分野にとどまらず、他領域のメンバーとも柔軟に協業できるカルチャーがあります。これにより、多角的で価値の高い提案が可能になるとともに、社員一人ひとりがキャリアの幅を広げる余白を持てるようにしています。
拡大フェーズにある現在
8期目、拡大フェーズについて
5期目から6期目にかけて、私たちのこれまで積み重ねてきた取り組みが、ある程度自走し始めました。たとえば、新卒メンバーは3期目となる2020年4月より加わり始めましたが、そのメンバーが徐々に成長し、カルチャーを次の世代へと伝え始めています。会社の中に「伝承の流れ」が少しずつできており、これが次の成長フェーズへ進むきっかけとなりました。
6期目以降は、組織の成長角度を意識的に高めています。その一環として、組織を段階的に分化し、「ユニット」と「セクション」という形で7つのチームに分け、それぞれにリーダーを任命しました。これまでの5年間、全員で一つのチームとして会社を育ててきたフェーズから、それぞれのチームが独自に価値を生み出し、ビジネスを推進する体制へとシフトし始めています。
現在はまだ移行期間中ではありますが、今後は各チームのリーダーたちが「自分たちのビジネスをつくる」という意識で、採用・育成・営業といったすべての活動を自立的に展開していくことを目指しています。自分のチームを“ひとつの会社”のように捉え、責任と裁量を持ってビジネスを広げていける、そのような組織を考えています。
経営において大切にしていること
経営において最も重視しているのは、「ぶれないカルチャーを浸透させ続けること」です。これは創業当初から一貫して掲げているテーマであり、現在も変わらず大切にしています。組織の上層が方向性をぶらすことなくカルチャーを体現し続けることで、現場にもその姿勢が浸透し、全社的な一体感が生まれると考えています。
その上で、事業の成長に不可欠なのが「人」です。人を増やし、育てるといった、採用と育成のサイクルをいかに質高く回していけるかが、事業拡大に直結します。そのため、採用活動や入社後の育成体制にも強い想いを持って取り組んでいます。
また先ほど述べたように、現在は各チームがより自立して事業を推進できるよう、営業面を含めた組織支援にも力を入れています。経営サイドとしては、単に「任せる」のではなく、各チームが自らの意志と力で成長し続けられるよう、戦略立案や営業方針策定に関して適切にリードしながら支えていく姿勢を意識しています。
ZEINならではの強み
他のコンサルティングファームと比較したとき、弊社の大きな強みの一つは意思決定の「スピード」と「柔軟性」です。これは創業時から大切にしている価値観であり、組織が拡大した現在も変わらず維持しています。
また、一般的なコンサルティングファームでは、トップダウンで「今年はこの領域に注力する」「このサービスを推進する」といった方針が決まることが多いと思います。しかしZEINでは、現場の「このサービスを立ち上げたい」「このマーケットを攻めてみたい」といった声を積極的に取り入れ、実際に新規サービスやアカウントの拡充が実現しています。
このような風土のもとでは、社員一人ひとりが自分のアイデアに責任とオーナーシップを持ち、主体的かつ前向きにチャレンジすることができます。その結果として、組織としての成長だけでなく、個人としての成長や達成感にもつながると考えています。こうした文化が、ZEINの特徴でもあり、1つの強みにもなっています。
現在、直面している課題
現在、組織として直面している課題の一つが、「中核人材層の強化」です。具体的には、マネージャーやシニアマネージャーといった中間層のボリュームが、今後の事業拡大を見据えるとやや不足していると感じています。チームの成長スピードを加速させる上でも、リーダー層の育成は不可欠です。
ただ、一方で現場では、「個々の強みを活かせる案件が十分に確保できない」、「新たな役割にチャレンジする機会の創出が難しい」といった課題もあり、それが成長機会の阻害要因となるケースも見受けられます。
こうした状況を踏まえ、今後は柔軟なアサインメントを意識しながら、中核人材に対して適切な役割とチャレンジの機会を提供していくことが重要だと考えています。会社としても、彼らがより多くの経験を積み、自信を持ってリーダーシップを発揮できるよう、案件の獲得や育成体制の強化など、サポート体制を整えていきたいと考えています。

会社が目指す姿とは
10期目に向けて描く会社の姿
今後、私たちは「チームの横の広がり」と「組織としての自立性」をさらに強化していきたいと考えています。具体的には、現在のセクターやユニットといった枠組みを拡張し、より多様な専門領域・強みを持つチームが並列に存在する状態をつくりたいと思っています。そのうえで、チームをリードするマネージャーやシニアマネージャーそれぞれが事業戦略を持ち、採用・育成・営業・サービス設計を自ら担うチームとして機能することを目標にしています。自らの手でチームを拡大・成長させていくことが「当たり前」になる、そんな自立的な組織文化を醸成したいと考えています。
また、ZEINは「ITコンサルティングを上流から下流まで一気通貫で支援できる体制」を強みとしていますが、それぞれのフェーズごとの体制も強化していき、将来的には、各領域・サービスが独立し、成長できる組織をつくっていきたいと考えています。
今後注力していきたい分野
すでに一部で外部サービスやプロダクトを取り入れた提案を行っていますが、今後はさらに一歩踏み込み、独自の機能や新たなプロダクトの開発にも取り組んでいきたいと考えています。
加えて、「システム導入後の運用やサポート」を提供できるような組織を立ち上げたいと考えています。現時点では、運用・保守業務は一部をコンサルタントが兼務したり、外部に委託したりして対応しています。しかし今後は、専任の運用・保守チームを社内に組成し、コンサルティング部門とは役割を分けた形で事業を展開していきたいと考えています。
そして将来的には、自社プロダクトや案件に限らず、外部クライアントのシステム運用・保守まで対応できるような組織を作り、その事業自体を一つの独立会社として分社化していくことも考えています。
また、サービスの対象クライアント層についても、広がりを持たせていきたいと考えています。現時点では、クライアントの8割が大手企業ですが、私たちの支援を必要としているベンチャー企業や中小企業、地方の企業も存在しているはずです。
こうした層は大手ファームではカバーしきれない領域であり、私たちだからこそ提供できる柔軟かつスピーディーな支援が求められていると感じています。
実際に、ベンチャー企業を支援した実績がいくつかあり、金融チームでは地方銀行向けの提案などにも着手しています。そうした取り組みをさらに広げていく中で、将来的には地方に拠点を構えることも検討しています。
さらに、DXチームでは、低コストで、使い勝手の良いプロダクトを活用したサービス展開も進めています。これらの取り組みを通じて、「企業規模に関係なく、必要とする企業に最適な支援が届けられる」体制を整えていきたいと考えています。
求める人材像
「自らの手で組織を大きくしていくことにやりがいを感じられる方」を求めています。
中途・新卒に関係なく、そういった志を持つ方にこそ、ZEINのカルチャーに共感していただけると考えています。そのうえで、「自分の得意領域を活かして新たなサービスやビジネスにチャレンジしたい」、という意欲をお持ちの方と共に働きたいと思っています。
実際、大手企業から入社される方も多くいますが、大手には大手でしかできないことがある一方で、ベンチャーでしか経験できない“新たなチャレンジ”や“組織を創っていく”といったことに面白さがあります。そのような変化や成長のフェーズを楽しめる方にぜひ来て欲しいです。
ZEINで働く意義
ZEINで働く最大の意義は、「自ら考え、自ら動かす」ことを実感できる環境にあります。トップダウンではなく、現場から生まれるアイデアや行動を尊重するボトムアップの風土が根付いており、社員一人ひとりが自律的に、新しいことにチャレンジできる環境があります。
クライアントとの関わり方やプロジェクトのマネジメントスタイルにも“型”はありません。自分の強みやスタイルを活かしながら、どのように課題を解決するかを自身で考え、行動できることはZEINならではの面白さだと考えます。
また、コンサルティングファーム出身者が多いため、コンサルタントとして必要な基礎的なスキルや作法についても実践的に学べる環境が整っています。未経験者にとっても、安心して挑戦できる環境があり、不安に感じたことはすぐに周囲に相談できる雰囲気があるということも魅力の1つです。上位層のメンバーは「組織全体で成長していこう」という意識を強く持っており、新しく入社された方がチームに馴染み、実力を発揮できるよう、周囲が自然とサポートする文化があります。
未経験であっても「重要な戦力」としてお迎えするのが私たちのスタンスです。どんなタイトルであろうと、求められる役割と期待値を明確に伝えた上で、会社としても全力でバックアップしていきます。
そうした支え合いのある中で、「個としての挑戦」と「組織としての成長」を両立できる環境が、ZEINの大きな魅力です。
ZEIN JOURNALをご覧の皆さまへ。
ZEINは創業からまだ8年、社員数も約100名規模の会社です。そのためマネジメント層との距離が近く、会社の方針やビジョンを直接感じながら働ける環境があります。大手企業では味わえない、会社の成長にリアルタイムで関わり、共に作り上げていく実感を得たい方には非常にマッチした環境だと考えています。
また、ビジネスの質やサービス領域においては大手コンサルティングファームにも引けを取らない高いレベルを追求しています。大手コンサルティングファームと同等の規模感や難易度の案件にも携わりながら、新たな挑戦を続けられる環境がZEINにはあり、こうした「やりがい」と「挑戦の機会」を求める方にぜひご参画いただきたいと思います。
加えて、自分の強みを活かしながら新しいサービスや事業を一緒に作り上げたい、自律的に挑戦し成長していきたい方を心よりお待ちしています。
<執筆/撮影:山崎 誠英>
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