【Celonis】業務改善の新手法、プロセスマイニングツールのCelonisとは

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この記事で分かること

・プロセスマイニングとは
・プロセスマイニングが注目を集める背景
・Celonis導入のメリット
・Celonisの活用事例
・Celonisを使いZEINが叶えたい未来

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インタビュイー紹介

桐谷 平康(きりや ただやす)
2010年に早稲田大学法学部を卒業。新卒で日本ユニシス(商社系SIer)に入社し、3年ほどインフラエンジニアとして働いたのち、EYアドバイザリー(現:EYストラテジー・アンド・コンサルティング)に転職。インフラ領域のコンサルタントとして経験を積み、2018年1月からZEINに参画。現在はシニアマネージャーとして、今回紹介するCelonisのほかBOX等のプロジェクトをリードしている。

プロセスマイニングとは

プロセスマイニング(Process Mining:プロセス採掘)とは、様々な業務プロセスに際して記録されているデータをマイニング(採掘)し、改善するポイントを特定・評価することで、業務改善をサポートする手法です。企業が活動するにあたって発生する業務を、RPA(Robotics Process Automation)などで代替する前に、業務自体の改革を行おうというものです。

そもそも、ここでの「業務」とはどのようなものでしょうか。
システム会社がA社にシステムを導入するケースを例に、説明します。

システム会社にとっては、下記のような業務プロセスが、システムを導入する際の一般的な流れになります。

商談が成立してお金が発生する場合、支払いや入金のプロセスが追加されたり、納品のプロセスが発生したりします。また、システム会社の中でも部署によってプロセスが異なり、企業活動は複雑な業務プロセスの集約で成り立っているのです。

このような業務プロセスを抱える企業でプロセスマイニングを用いると、下の図のように、1つの業務プロセスに複数の業務パターンが存在していることや、それぞれのパターンでどの程度時間が掛かっているかを可視化することができます。それによって、無駄な業務やボトルネックなどを発見し、改善に向けた取り組みを講じることができるのです。

プロセスマイニングが注目されている背景

プロセスマイニングが注目されている背景には、ITシステム/ツールの乱立とコロナの影響があります。

①ITシステム/ツールの乱立

昨今、企業が行う働き方改革やリモートワーク導入の取り組みとして、外出先での利用を想定した「リモートデスクトップ」や、社内基盤強化を目的とする「コミュニケーションプラットフォーム」、SlackやSalesforceをはじめとする「クラウドサービス」や、業務効率化を目的とする「RPA」や「AI-OCR」の導入があります。これらの最新テクノロジーの導入によって、各企業がデジタルシフトを進めています。

しかし、多くの企業は、上記に挙げたツールを「増え続ける業務」に対し「効率化させるためのシステム」という位置づけで導入していることが多く、根本にある「本質の問題」を改善せずに導入を続けているケースが多いです。それにより、増え続ける業務に応じて、導入したシステムが乱立する事態に陥っています。特に日本は、事業の特性として、企業において業務が属人化している傾向があり、なぜその業務が発生しているのか、また誰が担当しているのか曖昧なことも多いです。

そのような状況下で、コンサルティングファームはクライアント企業における業務プロセスの改善を図っていますが、従来の方法では数多くの課題が残っていました。

【従来の業務改善】
従来の業務改善アプローチは、専門知識を持ったコンサルタントと業務経験の豊富な業務担当者によって業務プロセスの可視化や評価が行われてきました。しかし、その方法では膨⼤なリソース投⼊・時間が必要となるうえ、担当者の業務把握レベル、インタビュアーの調査・分析レベルに依存してしまい、精度の⾼い可視化が必ずしもできるとは限りません。また、担当者の把握していない属⼈的な作業などは、正確に把握するのは困難を極めます。

【プロセスマイニングを活用した業務改善】
一方、プロセスマイニングは、企業のシステムに蓄積されたデータを基に業務プロセスの再設計、再検証を実施し、分析/評価することにより、効率化をサポートする⼿法です。データをもとに業務プロセスを可視化するため、インタビュアーのレベルに依存することがなく、従来の業務可視化⼿法では⾒落とされてしまう課題を発⾒することができます。また、調査や標準プロセスの定義に膨⼤な時間を要することなく、短時間で業務課題を抽出し、業務全体を俯瞰してみることができます。


このように、従来の業務改善方法で生じていた課題を解決するような手法として、プロセスマイニングは非常に注目されています。

②コロナの影響

アフターコロナ、ウィズコロナと言われている時代背景も、プロセスマイニングへの注目を加速させる要因となっています。コロナ禍を経て、実店舗での買い物に加え、ECサイトやWebアプリを利用する方も増えたのではないでしょうか。オンラインで商品を購入する消費者が増えたことで、企業はEC販売のための環境整備を促進するようになりました。


上図は、企業が商品を販売する際の一般的な流れを表しています。店頭だけで行っていた商品販売にECのチャネルを追加する際は、プロセスを見直したうえで、適切にECツールを導入しなければなりません。

プロセスマイニングを用いると、下図①のようにバリューチェーン内の業務プロセスを可視化できるため、ECツールを導入するために必要となる業務を明確にし、その業務を反映したプロセスへと変更することが可能になります。それに加え、②、③のように、ECツールの導入後において詳細な分析を行えるようになります。


コロナによって消費行動が大きく変化したなか、それに応じて企業もビジネスや従来の業務をより良いものへと変革させていくことが求められています。その際に、プロセスマイニングを活用することで効率的な業務改革が可能となるのです。

Celonis導入によるメリット

今回ご紹介するプロセスマイニングツールの「Celonis」は、全世界で700社を超える大手企業を顧客とするプロセスマイニングツールのグローバルリーダーです。

以下、Celonis導入によるメリットを具体的に説明していきます。

①業務プロセスの可視化/評価

Celonisを用いることで、現状の業務プロセスにおける不要な部分や課題を見つけたり、RPAによる自動化の適正評価を行ったりすることができます。これまで見えてこなかった課題を早く見つけられるようになることで、業務改善の促進を図ることができます。

②ルール逸脱の検知/対応

上記の業務プロセスの可視化だけでなく、業務を遂行するなかでのミスやトラブル、不正といったリスクを検知することができます。それによって高いコンプライアンスを保持できるだけでなく、トラブルが起きた際にはCelonis上で対応することが可能です。

③RPAとの相性の良さ

企業の生産性向上のために、「RPA」と呼ばれる業務効率化ツールがあります。昨今急速に普及しているものの、どの業務にRPAを導入するべきなのか、そもそも本当にこの業務は必要なのかといった検証が十分にされないまま、RPAの導入に踏み切ってしまう企業は少なくありません。従来、この業務プロセスの検証は人の手で行われ、多大なコストを要していました。しかし、Celonisを使うことによって時間と労力をかけずに、業務プロセスを網羅的に可視化することが可能になります。

そこで可視化されたボトルネック部分にはRPAを導入し、そうでない部分にはRPAを導入しないといったことが早急に判断でき、業務自動化を効率的に行うことができることから、RPAとプロセスマイニングは非常に相性が良いといえます。

Celonisの活用事例

事例: Uber

出典:ビジネス+IT(2015)

Uberは、上図のようにユーザーと運転手をマッチングさせる配車アプリサービスを手掛ける会社です。現在までに、63か国700都市以上でサービスを提供していますが、世界各地で事業が急速に拡大したことにより、すべての地域で一貫して優れた顧客サービスをユーザー1人ひとりに提供することが難しくなっていました。

そこでUberは、何百万もの顧客とのやり取りを分析し、グローバル規模でのばらつきを把握するべく、Celonisを導入しました。
プロセスマイニング技術を活用して、地域、都市、サービスセンター間で業務の流れとスループット時間を比較することにより、ユーザーからの問い合わせチケットの解決時間の短縮など、見えていない非効率を解決することに成功しました。

Uberの他にも、世界中の様々な企業でCelonisは導入され始めており、今後さらに拡大することが見込まれます。

Celonisを使いZEINが叶えたい未来

働き方改革が求められる時代、企業はITシステム・ツールを導入するだけではなく、業務そのものを変革しなければなりません。そこでZEINは、Celonisを用いてお客様の業務改革をクイックに実現し、お客様の事業継続力の向上や事業拡大に貢献していきたいと思います。ZEINが得意とするトップダウンによる業務改善アプローチとCelonisを活⽤したデータログを起点としたボトムアップアプローチにより、包括的なサービスを提供することで、お客様の業務課題を効率的に解決していきます。

<執筆/撮影:齋藤 賢太>
※本記事掲載の情報は、公開時点のものです。