プロフィール:長田 瞬(おさだ しゅん)
ZEIN株式会社 取締役 マネージングディレクター。1981年生まれ。
新卒でアクセンチュアに入社後、ITベンチャー起業、不動産投資ファンド、EYアドバイザリー(現:EYストラテジー・アンド・コンサルティング)、独立系ITコンサルティング会社を経て、ZEINを創業。趣味は、スポーツ観戦、ワークアウト。
22卒採用活動を振り返って
新卒採用において、どのような役割を担っていますか?
私は新卒採用業務における全体の運営責任者(新卒採用に関わるインターンの統括含む)を務めています。
まず新卒採用については、採用PR、募集、応募者対応、面談の設定などの採用業務全体を管理しています。
次に、インターン活動については、インターンメンバーの採用及び、インターンチームの企画や作業に対する最終確認を行っています。前者については最終面接やその採用判断を行い、後者については、インターンメンバーから提出された企画・施策の承認や、執筆された記事の公開前の最終確認を行っています。
22卒の採用活動はどのようなスケジュールで進められましたか?
採用活動自体は2020年6月から開始し、6月~10月は採用計画を固める作業を行いました。
2020年内には、本選考開始に向けて就活生にZEINを知ってもらう場として、カジュアル面談やミートアップを開始しました。
2021年1月からは22卒採用の募集をオープンし、本選考を開始しました。本選考を開始した後も、カジュアル面談とミートアップは継続して行っていましたね。そして2021年8月末に、内定承諾者数が今年の採用予定人数に達したため、22卒採用の募集を停止しました。
今年から新しく導入した試みはありますか?
昨年から試験的に導入していた試みではありますが、採用業務の効率化を目的に採用ワークフローを本格的に導入しました。
採用ワークフローとは、Office365のワークフロー機能を用いた採用業務のオートメーション(自動)化システムを指します。20卒・21卒の採用活動中に、応募者への対応に想定以上の時間がかかるという課題が浮上し、作業を自動化することで解決を図ったものです。この自動化の仕組み作りは、昨年のインターンチームが時間をかけて取り組んでくれていました。
今年は、最もボリュームが発生していた「カジュアル面談の応募 → 実施」という箇所に対してこのワークフローを取り入れ、業務の効率化を達成することができました。
コロナ禍の採用活動で、昨年と比べ変化した点はありましたか?
変化した点としては、オンラインを前提とした採用活動に切り替えたことが挙げられます。
21卒採用の際は、対面形式を前提とした採用活動を行っていました。コロナ禍で採用活動を完全オンラインに切り替えた後も、対面形式のプログラムをオンラインに持ち込む形でイベントを行っていました。それに対し、22卒採用はオンラインを前提としたプログラム作りを行いました。
例えば、複数の社員で担当しているカジュアル面談では、今年から会社紹介資料を活用しました。この資料はインターンチームで作成し、面談担当者の方にお渡ししていました。面談担当者が同じ資料を使って説明を行うことで、参加された就活生に与えられる情報の品質を一定に保つ工夫を重ねました。
オンラインを前提とした採用活動において、良かった点を教えてください。
対面イベントでは状況や参加者の雰囲気に合わせて臨機応変に対応する場面が多くなるため、時間管理がやや難しかったのですが、オンラインの場合は時間を区切りやすいため、プログラムを進行しやすいと感じました。
対面形式のイベントでは就活生が緊張されていることが多く、その緊張をほぐすためにアイスブレイクの時間を長めに取ることがありました。しかし、オンラインのイベントでは比較的リラックスされている傾向があり、短い時間でも緊張がほぐれていたように思います。
また参加側である就活生にとっても、会社への移動時間がなく、リラックスした状態で社員の話を聞くことができる状況は良かったのではないでしょうか。
では、オンラインの採用活動で苦労された点はありましたか?
苦労した点としては、ミートアップの集客と位置づけが挙げられます。
今年はカジュアル面談への応募は増加しましたが、ミートアップの集客には苦戦しました。カジュアル面談は社員1人に対して就活生も1人ですが、ミートアップは社員1人に対して就活生複数で実施されます。1人あたりに割かれる時間が少なくなってしまうミートアップは、忙しい就活生にとってあまり魅力的に映らなかった可能性があります。
ミートアップを対面で開催していた昨年は、集客に苦戦することはありませんでした。オンラインのイベントに求められることは、時間的コストパフォーマンスの良さといった質の高さなのかもしれません。
来年の23卒採用では、カジュアル面談とミートアップにそれぞれ異なる魅力を付けるなど、両者の位置づけを再考する必要があると考えています。特にミートアップでは、テーマ性のあるプログラムを企画したいですね。
22卒・新卒3期生について
採用活動や実際の面談を通して、22卒の就活生全体に対してどのような印象を持ちましたか?
私の場合は、特にカジュアル面談を担当した時の印象ですが、去年までと比較すると、時期ごとに就活に対する習熟度にバラつきがあったような印象を持ちました。ここでの習熟度とは、面談に対する目的意識や、就活におけるフェーズを指します。
例えば、カジュアル面談では、企業説明会を聞くような目的で参加している学生と、志望企業の1つとして他社比較を目的に参加している学生、キャリアプランの明確化を目的とした学生が同時期にエントリーされていました。
従来の就活生は、大学内で情報交換をしながら就活を行っていたからか、時期による習熟度にあまり差を感じませんでした。一方で22卒というのは、3年生の4月から約半年以上の間、大学授業が初めて完全オンラインで行われていた世代です。従来ほど情報共有が進まず、個人ごとで習熟度にバラつきが生まれたのかもしれません。
「習熟度のバラつき」は、ZEINの採用活動に影響を与えましたか?
昨年と比べて、内定を出すタイミングと、そのタイミングに対する内定者数の決定が難しかったです。例年、早期の内定者は内定辞退率が高い傾向があり、今年はこのような傾向を踏まえつつ、習熟度のバラつきも考えながら、エントリー者の中で検討を行う必要がありました。
最終的には、今年は早期内定者の受諾率の方が後期よりも高い結果となりました。採用に関わる身としては嬉しい結果ですが、やはり例年とは大きく傾向が異なりましたね。
先月内定式を行ったばかりですが、新卒3期生にはどのようなことを期待しますか?
3期生の強みは、ロールモデルとなる新卒入社の先輩が社内に沢山おり、自身の成長がイメージしやすいことだと思います。この環境を活用して、より早い成長曲線を描いて欲しいですね。
3期生が加われば、ZEINにおける新卒入社メンバーは全部で26人になります。1期生は3年目を迎えますし、新卒入社メンバーの中でより競争意識が生まれてくると、組織全体としてもさらに成長できるのではないでしょうか。
また個人的には、これまでのZEINのカルチャーに加えて、新卒1期生~3期生による新しい価値観やカルチャーも創り上げていってくれれば嬉しいなと思います。
23卒採用に向けて
22卒の採用活動を終え、新卒4期生となる23卒の採用活動に向けての目標をお聞かせください。
採用予定人数が増える上で、22卒採用活動と比較して約1.5~2倍のエントリー数を数値目標として掲げたいです。そのためには、既存媒体に加え、エントリーチャネルを増やす必要があると考えています。現在も、新しい採用媒体にチャレンジする計画を立てている最中です。
また会社としては、ZEINの採用を次のステージまで引っ張っていってくれる人事領域の社員を採用したいと考えています。
現在、ZEINの採用業務(新卒・中途)は、役員が様々な業務と兼務しながら行っています。コンサルティング会社において、人材の採用・教育は事業戦略として非常に重要な要素であり、最も投資を行うべき部分です。会社として次のフェーズを目指すために、人事領域のプロフェッショナルを採用することで、より人材の採用・育成に注力し、強化していきたいと考えています。
ZEIN JOURNALをご覧の皆さまへ。
近年の就活生には、自分がやりたいことをベースに、限定された中から自身のキャリアを選ぼうとしている人が多い印象を持っています。もちろん、興味のある業界・職種を就職先として選ぶのは1つの方法です。
しかし、1度そこから離れて、経済や社会のトレンドといったマクロ的な観点を持ってみてください。私は、自分自身が成長するためには、成長している業界に身を置くことが一番の近道ではないかと思っています。就活生の皆さんは、大きな世界の流れを意識し、5~10年後の未来を考え、人生の一歩目としてどのようなキャリアを歩むべきかを考えてみるのも良いのではないでしょうか。
<執筆/撮影:久下 萌美>
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