Chapter.1 逆質問はすべき?
そもそも、逆質問はした方が良いのでしょうか。先に結論を申し上げますと、
聞きたいことがあるなら、質問する。
聞きたいことがないなら、無理にする必要はありません。
何故かというと、とりあえず何か質問をしなくちゃと焦り、逆に心象が下がってしまう場合があるからです。
面接官は、逆質問によって以下を判断しているケースが多いです。
① 志望意欲
② 地頭の良さ
①志望意欲については「そもそも逆質問をするかしないか」が大きな変数となっており、
②地頭の良さについては「質問内容」と「質問形式」が大きな変数となっています。
もちろん、必ずしも「逆質問をする=志望意欲が高い」わけでも「逆質問をしない=志望意欲が低い」わけでもありません。それまでの面接での会話の情報量が多く、既に聞きたいことが概ね聞けているのであれば、無理して聞く必要はないでしょう。
むしろ大事なのは②です。聞きたいことがないのに無理やりひねり出した質問は、マイナスに働いてしまうことが多いです。「この子、地頭良くないな~」と思われる質問の内容・仕方は絶対に避けましょう。
それでは質問したいことがある場合、どのようにしたらネガティブなケースを避けられるでしょうか。
質問の評価軸は「質問内容」と「質問形式」に2分されると考えられます。その2軸について、NG例を交えて次のChapterで解説していきます。
Chapter.2 NGな質問内容
絶対にNGな質問内容
① ちょっと調べればわかる質問
② 聞く目的が分からない質問
場合によってはNGな質問内容
③ 労働条件に関する質問
④ 転職に関する質問
各質問について、面接担当者の本音とともに補足していきます。
① ちょっと調べればわかる質問について…
NG例
例A:「初任給っていくらですか?」
例B:「会社はどういう方向を目指していますか?」
これらの質問は、少し調べれば分かることを調べない状態で受けに来た就活生として、志望度が低いとみなされてしまいます。ここまでの面接でプラスの印象を与えていたとしたら、この質問で全てをマイナスに上書きしてしまうのは、もったいないですよね。
② 聞く目的が分からない質問について…
NG例
例A:「今の自分の課題は何ですか?」
例B:「仕事のやりがいは何ですか?」
例C:「お昼ご飯はどういうのを食べるんですか?」
これらは、面接担当者からすると聞く目的がわからないと感じやすい質問です。せっかくの機会なので、有意義な情報を聞くようにしましょう。
面接担当者の本音シミュレーション
例A:「もしかして試されてるのかな。それを聞いてどうするんだろう。」
例B:「もしかして性格診断されてるのかな。私の価値観とこの子の価値観は違うはずなんだけど、それを聞いて何が得たいのだろう」
例C:「それを聞いてどうしたいんだろう」
③ 労働条件に関する質問について…
NG例
例A:「定時で帰れますか?」
例B:「毎月のノルマってありますか?」
例C:「教育制度って充実していますか?」
これらの質問が場合によってはNGな理由としては、担当者によって「仕事に対する意欲が低い」と思われてしまう場合があるからです。どうしても聞きたい質問であれば、補足を入れたうえで聞くのが無難でしょう。
面接担当者の本音シミュレーション(マイナスに受け取られてしまった場合)
例A:「この子は仕事が終わらなくても定時で帰ることを優先しているのかな。定時で帰れるかどうかよりは、定時で帰れるようにするために自分がどう生産性を上げるか考えてほしい」
例B:「この子は毎月何の目標もなくダラダラ仕事をしようとしているのかな。」
例C:「この子は会社に育ててもらう前提なんだな。教育制度にべったり依存するよりは、必要に応じて自己研鑽をする気構えでいてほしい」
④ 転職に関する質問について…
NG例
例A:「新卒ってだいたいどのくらいで転職するんですか?」
例B:「ここでの経験ってどの業界で役に立つんですか?」
これらの質問も、場合によってはNGな質問になり得ます。転職に関して寛容な企業の場合、「この子は既に将来を見据えているな」と高評価に繋がる可能性もあります。事前に、業界としての風潮やその企業の社風などを把握しておいた方が良いでしょう。
面接担当者の本音シミュレーション(マイナスに受け取られてしまった場合)
例A:「最初から転職のタイミングを決めようとしている時点で向いてない気がするな」
例B:「この子は転職前提なのか。」
Chapter.3 NGな質問形式
続いては、「質問形式」についてです。
絶対にNGな質問形式
① 何を聞きたいのかが分かりづらい
② 聞きたい範囲が広すぎる
場合によってはNGな質問内容
③ 確認になってしまう(そうだねとしか言えない)
④ 自分のことを聞く
① 何を聞きたいのかが分かりづらい
NG例:「僕、今自分のやりたいことが分からなくて、まずは自分にできることを始めようかなと思ってるので、僕にどんなことが向いてそうなのかをお聞きしたいんですけど、〇〇さん(面接担当者)は新卒の時にやりたいことってありました?」
核心(=聞きたいこと)に行くまでに寄り道しすぎ&余計な情報量が多すぎる例です。言いたいことが伝わりません。簡潔に言いたいことをまとめ、結論ファーストの質問を心がけましょう。
② 聞きたい範囲が広すぎる
NG例
例A:「仕事って大変ですか?」
例B:「働くうえで大事なことって何ですか?」
質問内容に関わらず、相手が返答に困ってしまうくらい範囲が広い質問の仕方はやめましょう。禅問答をしているわけではないので、相手が過剰に思考しないといけない質問は避けた方がよいです。悩んだ挙句、「場合による」と返ってくることが多いでしょう。相手が「場合によるね」と答えてきたときは「この質問は、聞く範囲が広すぎたのかな」と思ってよいでしょう。
特に例Bの質問は、「自分も参考にしたいです!」という意図で良かれと思って質問をする就活生が多いですが、解答パターンが多すぎて一概に言えないことがあります。その意図であれば、「新卒にまず身につけてほしい意識は何ですか?」のように条件を狭めて質問してみましょう。
③ 確認になってしまう(そうだねとしか言えない)
NG例
例A:「若くて体力のあるうちはやっぱりがむしゃらに働いた方が良いですよね?」
例B:「この会社って本社ここですよね?」
前述の「調べれば分かる質問」と一部重なるところもありますが、わざわざ貴重な面接の時間を使って聞く必要があるのか、一度確認するのが良いでしょう。
④ 自分のことを聞く
NG例
例A:「私の強みってどこですか?」
例B:「私ってどんな仕事が向いてますか?」
「会って間もない人が私にどういう印象を抱くのか知りたい」という目的で聞くのは良いですが、質問の仕方次第では「自己分析ができていない」とマイナスな印象を与えかねません。自分の第一印象が知りたいのであれば、貴重な面接の時間を使う必要はないかもしれません。面接の場で、面接担当者にしか聞けない質問をした方が有意義ではないでしょうか。
<執筆:濱岡 聖朗>
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